P/Lは現場B/Sは経営

#5 P/Lは現場B/Sは経営

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ひょんなことからソフトウェア開発会社のH社長のことを思い出しました。

H社長の経営する会社は会計ソフトウェアの開発販売を行っている企業です。

ソフトウェア開発企業の特性として、開発に長期を要するため、不発に終わると大きな時間的コストと金銭的コストが降りかかります。行く末は借金地獄が待っていいます。

一方で、一度開発に成功し,そのソフトがヒットすれば、無借金経営が可能で数年は安泰と言われている業種です。

吉とでるか凶とでるか分からない中で会社を切り盛りするH社長ならではの印象的な言葉を思い出しました。

「P/Lは現場 B/Sは経営」と言う言葉です。

会社の成績表は主に2つの資料で評価されます。

1つはP/Lです。プロフィットアンドロス ステートメントの略です。

日本語でいえば損益計算書と言います。

意味は企業のある一定期間(通常は1年間)における収益と費用の状態を表すために作成されるものです。

一言で言うと「儲けてますか?、損してますか?」を示す資料です。

もう1つはB/Sです。 バランスシートの略です

日本語でいえば貸借対照表と言います。

意味は企業の持っている資産をどこから調達しているかを表すために作成されるものです。

一言でいうと「借金でやってますか?自己資金でやってますか?」を示す資料です。

B/Sは社長の人格

ここで最初に紹介したH社長の言葉に戻ります。「P/Lは現場 B/Sは経営 」の示す意味とは?

P/Lは現場とは、売上や利益を得るために頑張るのは現場だということ。

お客さまに接し、ニーズにあった商品やサービスを提供する役割が現場です。

結果としてどれくらいの費用がかかって、どれだけの売上がたったのか。最終的にいくら儲かったのかが現場の仕事になります。

一方でB/Sは経営とはどういう意味でしょう

B/Sとは会社の財産を誰から借りているかということであり、会社創業時などは、どの会社も社長やその家族、知人から資金を集めて始めます。

規模が大きくなるにつれて、仕入先に信用で支払を掛けにしてもらったり、銀行から融資を受けたりしながらお金の調達間口を広げながら成長していきます。

ここでポイントとなるのは成長の仕方にも違いがあるということです。

動物の成長でも、ドッグイヤーなどと表現されるように種別により成長の違いがあります。

企業においても成長の違いがあるのです。

ではその成長の違いを決定づけるものは何なのか?

動物で言えば遺伝子でしょうか?

企業で言えば・・・?

それがH社長の伝えたかったことだと私は感じました。

企業の成長を決めるのは「経営者の考え方」だと思うのです。

例えば成長を急ぐ経営者は借入をテコに大きな設備を買ったり、大きな商品仕入れを行います。

時には当てが外れ借金だけが残ることもあります。

考え方としては家を住宅ローンで購入するか、自己資金が貯まるまで買わないかによく似ています。

別に借金が悪いと言っているのではありません。時間を買うという観点からは借金は有効な手段の1つです。

現実の世界でも成長志向で成功しているシンボリックな企業としてソフトバンクがあります。

今から20年前には誰も知らない中小企業のソフトバンクが20年後、NTTグループやトヨタ+京セラ連合のauと互角に戦っているなどとは誰が想像できたでしょうか。

つまりは、社長の考え方次第で誰から借りるのか、それとも自分で蓄えてからやるのかが別れ、その結果企業の成長について違いが生まれるのです。

だから社長の仕事は究極的にはB/Sをどうするかに集約されるのではないでしょうか。

H社長の言葉として印象的なものとして

「B/Sは社長の人格」という言葉が忘れられません。

自分の働いている会社を見るときにも

現場が頑張っている会社なのか、社長の人格がどうなのかを

P/LやB/Sなど財務資料から見てみるのも面白いかもしれませんね。