経営者の目

#4 両目で見ない?

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ひょんなことから金属加工業を営むG(専務)さんとお話をしてきました。

Gさんは夫と二人三脚で会社を創業し30年の業歴を有する企業に育て上げました。

原子力発電所などの絶対的な安全性を求められる金属部品の加工業を営んでいる企業のお母さん専務です。

Gさんの会社は典型的な中小製造業で、生活のほぼすべてが仕事という中で毎日をすごしてきました。

働く社員は家族が中心のこじんまりした企業ですが、皆さんイキイキとした姿が印象的だったので、普段の生活や人材育成について訊いてみました。

Gさんの職場は、いわゆる町の工場という表現がピッタリで、職住が同じ環境にあます。

常に家族がイコール職場という状況から夫婦間でも独りの時間が取りにくいのでは?との問いかけに対し、Gさんは「いいえ、会長(夫)は外で飲む、打つ、買うのすべてをやりつくしてますよ」「私は趣味の着物収集が一番の息抜きね」と笑顔で語られました。

息子(社長)さんはどうですか?との問いかけに対しては、「会長とは仕事の方針で毎日衝突しています。会長の言い分もわかるし社長の考えもわかるの、だから私はそれぞれに、こう言うのよ ”そうね” とだけ」と笑顔で語られました。

話をしているうちに、この会社(家族)の何となく暖かい雰囲気は、普通なら感情的になってしまうような場面であっても、それを受け止める母の力があるからなのだと感じました。

Gさんに辛くて感情的になるときはどうしているんですか?と訊くと、

秘訣は「両目で見ないようにしているのよ」との答えが返ってきました。???

つまり、両目で見ると ”良いところ” と ”悪いところ” も全部見えてしまう。

家族であり社員であり逃げ場がないのが中小企業経営者の家族です。

敢えて片目をつむって良いところだけ見るように心がけることで、お互いを尊重しあえる関係を作っているのでしょう。

両目で見るが、片方は遠くを見ている

続いて電子部品卸業のKさんの話です。

Kさんも同じく中小企業経営者のご家族に育ち、現在社長を務めています。

Kさんにも、会社や家で片目をつむることはないでしょうか?と訊いてみました。

「俺は両目で見ているよ。片方の目は近くを見ているが、もう片方はずっと遠くを見るようにしているんだ」

どういう意味でしょうか?

「それはね、これだけ変化の速い電子部品の世界では10年後は見通せない。業界の中だけでは狭すぎる。もっと刺激的な体験をしなければ先を読むことができない。だから片方は現場、片方は未来を見ているんだ」と、熱く語られました。

昔から、”為になる” といわれる書物などで鳥の目、アリの目、魚の目、いろんな目について語られています。

人は見たいものをその人が見たいように見る

スティーブン・R・コヴィー氏の名著「7つの習慣」にもそう書いてあります。

要は何を見るかより、どうやって見るかが大事。

その人の思考がすべて見るものを決めているのではないでしょうか

優しさが片目をつむり、情熱が多面的な目を開く

そんな心の在り方を、お二人から教えていただきました。

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