一度捨てると二度と手に入らないもの・・・それが勇気

#19一度捨てると二度と手に入らないもの・・・

それが勇気

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ひょんなことから2年半前に李君(仮名)が私のチームに入ってきました。

私のチームは法人営業が仕事です。

 

李君にとっては入社後、初めての転勤でした。

持ち前の人懐っこさと明るい性格で顧客の中に、李君のファンも徐々についてきていました。

 

営業成績はずば抜けて高いというわけではありませんが、先輩や同僚に遅れないように、締切間際まで粘ってギリギリセーフといった感じでした。

 

一方で、おっちょこちょいなところもありましたが、困っている仲間を助けたり、自分が助けてもらった時も「ありがとうございます」と爽やかな笑顔で応える李君だったのでチームの仲間からも、可愛がられる存在でした。

 

 

起こった事

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そんな李君が・・・

ある日を境に皆の前から突然に姿を消しました。

きっかけはありました。

 

姿を消す前夜に李君のある失敗を私が発見してしまったのです。

仕事上のミスを隠すために、ある大事なものを隠しもっていたことが発覚したのです。

 

ミス自体は顧客や会社へ損害を与えるたぐいのものでは無く、些細なものでした。

そんな些細なミスでしたが、李君は上司である私へ伝えることが出来ず、誰にも相談することが出来ずに自分自身で解決しようと思っていたのでしょう。

 

過去にも李君は失敗をしてきました。その都度、次に同じ失敗をしなようにするにはどうしたら良いかを一緒に考えてきた・・・つもりでした。

 

私は李君に対して、「残念だよ、困ったら何でも相談してくれって言ったのに一人で抱え込んでしまったんだね」

李君は「課長が忙しそうだから、迷惑を掛けたくなかったんです」と

李君はものわかりの良い、優しいタイプの人間でした。

 

今回ミスを隠していたことが分かってしまったことにかなり動揺しているのが彼の表情から読み取れました。

 

本来なら人に聞けばすぐにでも解決できるレベルの話なのですが、それができなかったのです。

なぜか?

そうした聞けない雰囲気を

私が作り出していたのかもしれません。

こんな初歩的なミスをしたことを言えば、恥をかく、他のメンバーの視線が気になる。

黙っておこう。と

自分ではそういう風土にしたくないと意識してきました。

まず自分が率先して失敗を公にして、失敗しても大丈夫だよと示してきた・・・つもりです。

困った人がいたら自分の仕事を投げうっても助けにいくことを良しとしてきた・・・つもりです。

今となっては自信がありません。

 

私は李君に「明日会社に来るのはつらいだろうが、勇気を持って普通に会社に来るように」とだけ伝えその場を後にしました。

その日以来、李君とは会っていません。

 

私はなんでも相談してほしいと常々チームメンバーには伝えてきましたが、

それは単なる一方通行なメッセージであることに気が付かされました。

 

実際に私は自分自身のノルマなど、出来なかった時に自分に責任が降りかかる可能性ある仕事を優先し、李君が発していた幾つものシグナルに気が付かなかったのです。

いや気付かないふりをしていたのです。

そうした私の姿勢を感受性豊かな李君には、全て見透かされていたのだと思います。

そうです、無関心だったということが証明されてしまいました。

 

表面的には優しい上司、世話好きな上司と映っていたかもしれませんが、

結局は困った時に相談することができない上司。

相談したところで解決してくれない上司と思われていたのでしょう。

 

今思えば、私も他人からの視線を気にしていたんだと思います。

単に世話好きで優しいのではなく、相手を自分に依存させることで、自分を重要な人物と思わせたかったのかもしれません。

そして結果的に自立できない人間を作り出してしまい、大事な時に見て見ぬふりをしてしまったということです。

 

 

 

李君に伝えたい事

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今更だけど僕が君に伝えたいことは

世の中で言う“ためになる本”に良く書いてある言葉。

君にも何回か言ったことがあるが覚えているだろうか?

「人生で起こることはコントロールできないが、それにどう対処するかは自分で決められる」

 

君はどうするの?

失敗したことを無にしているように見える

それだと神様はまた同じことを君に与えるよ

その時はうまく対処できる?

失敗したからって何なの、また挑戦すれば良いじゃない

責任の取り方について、黄色い紙に書いて渡したね

  1. 謝罪する
  2. やり直す
  3. 結果を出して挽回する

 

同僚の武君(仮名)も最近同じ失敗を繰り返しているよ。

つい最近も前の日に飲みすぎて遅刻した。

今年だけでも3回も遅刻して皆に迷惑をかけた。本当にもうどうしょうもない。

  1. でも謝罪したよ。
  2. 罰として「もう仕事はさせない」と命令され、皆が駆けずり回るこの時期にすごい嫌だと思うが1日机でじっと耐えた。次の日も勇気を持って出てきたよ。
  3. 次の日、失敗により皆に迷惑をかけたことについて反省し、皆の役にたつことを自ら考えて率先してやっているよ。仕事で成果を出すのは当たり前。それ以外でどうしたら人の役に立てるかを考えての行動をとっているよ。朝1番に来て、会社の掃除を毎日やっている。

 

あの日、言った言葉覚えてる?

その人の本性は困難に直面した時に出るって

もうダメだと思った時にどうするか

 

「明日来るのはつらいと思うけど、勇気をもって普通にくるように」とだけ言ったね

だけど君は来なかった。

連絡も自分で、してこなかった。

どうしてだろう

電話するのが怖かった。

恥ずかしかった。

自分が情けなかった。

何もする気が起きなかった。

いろいろな気持ちがさくそうして、もうどうにでもなれといった感じだろうか?

 

わかるよ。

人はそんなに強いものじゃない。

できれば逃げたい。避けたい。忘れたい。

でも、まわりの皆はどう思う?

今まで一緒にやってきた仲間は?

君を頼りにして明日の約束を待っていた人は?

 

そうだよね、そうしたことを君が考えていないとは思わない。

悩んでいるんだと思う。

 

長く考えても答えは、そうは変わらないと思うよ

僕は、悩むというのは行動をしない言い訳だと思うから。

 

君は自分に対する自信を他人の目線に合わせすぎていたように見えたよ

だから今回も失敗を隠したし、皆の前から姿を消した。

 

でもね、他人が君を見る目は

“一瞬で決まる”んだと思うよ。

大事な事は一瞬で決まる。

だけど普通、人は困難に遭遇した時には冷静に決められない。決断できない。

どうにかこの状況から逃げられないか?

と考えてしまうわけだ。

特に自分の失敗を認めて皆に謝罪するのは勇気のいること。

事が大きければ大きいほど。

それは僕も同じだ。

だから僕は大失敗をした時には判断しないことに決めている。

「潔く謝る。責任転嫁しない。どう挽回するかに集中する」こう対処することに決めている。

決めているから考える必要は無い。

だから悩まない。

それは僕が「潔い人」が好きだから、

判断に迷ってぐずぐずしている自分自身が嫌いだから

そうならいようにするために決めているんだ。

 

それでもやっぱり勇気がいるよ

僕も子供のころ、新しいクラスになった時、友達の輪に入るのが苦手だった。

「僕も入れて」というのにとても勇気が必要だった。

 

それはもしかして「ダメ」と言われるのが怖かったからだと思う。

ダメと言われたらなんといっても悲しいし、カッコわるいでしょ。

 

そうするとどんどん自分に対する自信がなくなってくる。

そう、自信を失くすのが怖くて躊躇していたんだと思う。

 

でもね、周りには居たよね、誰にでも自然と「僕も入れて」といえる子が

その子は怖くなかったのかな

 

多分、そんな事考えていなかったんじゃないかな?

そんな子に聞いたことが無いから、わからないけど、怖くないの?って聞いたらきっと

「は?」って感じなんだと思う。

 

最初はそんな子も勇気を持って「僕も入れて」と言ったんだと思うけど、

一度勇気を手に入れたら、次からはそれが自然と出るようになるんだと思う。

 

そう、自信のある人が勇気を手に入れるんでは無くて、

勇気を手に入れた人に自信が宿るんだと思う。

 

だけど、その勇気を捨てたら自信のないまま生きていくことになるんじゃないかな?

もうダメだって時に使わないと

勇気は1つしか与えられてないから

一度捨てると、もう二度と手に入らないから。

 

この世に2種類のタイプの人がいたとする。

「勇気を与える人」と「勇気を削ぐ人」

今までの僕の君への接し方は「勇気を削ぐ人」だったのかもしれない。

 

僕自身もこうしてこのことを書き記すことで君との出来事を乗り越えたいと思っている。

 

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